
水素を知りたい人「グリーン水素って何?水素の市場性について知りたいな。」

本記事の内容
- 水素をエネルギーで使うとは
- グレー水素、ブルー水素、グリーン水素
- グリーン水素の今後の市場性
最近、海外では「Hydrogen(水素)」という言葉がビジネスメディアで頻度多く登場しています。
SDGsやCO2ゼロの達成のために、風力や太陽光といった再エネの次にくるのが水素というクリーンエネルギー源です。
その関心が高まっているからだと思われます。
水素は今後、家庭への電力供給・自動車燃料・旅客機や船舶の燃料などで石油・石炭に代わる主要エネルギー源になることが見込まれています。
米CNBCが2020年9月に報じたバンク・オブ・アメリカのレポートによると、水素は2050年にはエネルギー需要の24%をカバーするとも言われています。
そのインフラ投資は2020~2050年までに11兆ドル(約1146兆円)にもなる可能性があります。
この記事ではまだ馴染みの浅い水素について解説してみます!
それではいきましょう。
目次
水素をエネルギーで使うとは
「水素って環境に良い」というイメージありませんか?
以下の順で説明しますね。
- 水素で発電をする
- 水素を使うメリット
- 水素を使うデメリット
そもそも水素とは?
水素は地球で最も軽い気体です。
あなたの周囲の空気の約14分の1の軽さです。
無色無臭、味もありません。
-253℃まで冷やすことで液体になります。
様々な資源に含まれており、地球上に多く存在し枯渇の恐れがほとんどない。
水素で発電をする
「水の電気分解」と反対の原理を利用します。
中学生の頃、理科の実験で「水の電気分解」ってやりましたよね?
水に電気を加えることで水素と酸素に分解する実験です。
水素から発電するには、水の電気分解の反対の原理を使います。
引用:東芝
すでに水素エネルギー利用は実用化されており、家庭用燃料電池「エネファーム」などでも使われています。
ガスから水素を取り出して酸素と化学反応を起こして効率よく電気をつくり、さらにその時生じる熱も使う仕組みですね。
このように水素をエネルギーとする原理は中学生の実験レベルと難しいものではなく、すでに実用化も進んでいるものです。
水素を使うメリット
水素をエネルギーとして使う際のメリットは下記です。
- 二酸化炭素を出さない
- 地球上に多く存在する
- エネルギーを水素として貯められる
水素をエネルギーとして利用した場合に排出されるのは水になりますので、温暖化や気候変動の要因とされる二酸化炭素の排出はありません。
水素は究極のクリーンエネルギーです。
さらに地球上に多く存在するので枯渇する恐れがほとんどありません。
水素は水からだけではなく、いろいろな方法で調達できます。
- 廃プラスチック
- 下水
- メタノール・エタノール
- 化石年長
- 製鉄所や化学工場

引用:22世紀を生きる君へ
水素は質量あたりのエネルギーがガソリンの3倍程度あり、エネルギー変換効率が良いため、エネルギーを貯蔵・輸送する手段としてもメリットがあります。
水素を使うデメリット
水素をエネルギーとして使う場合のデメリットはこちら。
- 気体のままでは貯蔵・輸送効率は低い
- 水素脆化(すいそぜいか)
- 水素自体が化石エネルギーから作られている
水素は気体のままではその体積の大きさから貯蔵や輸送効率は高くありません。
そのため水素を大量輸送・貯蔵するためのエネルギーキャリア(水素を液体や水素化合物にする方法)が必要です。
具体的には、下記の方法があります。
- 圧縮水素
- 液化水素
- 有機ハイドライト
- アンモニア
この中で液化アンモニアの水素密度がエネルギーキャリアの中でも大きく液化条件も比較的マイルドなため、アンモニアでの運用を良く聞きます。
水素は金属の内部に浸透すると水素脆化という金属の強度を弱くする減少を起こします。
水素脆化をおこさない方法での保存・使用が必要でインフラの整備に技術と費用がかかります。
さらに水素自体が現在は化石エネルギーから作られているので、クリーンエネルギーである水素を作るためにCO2が出るという矛盾状態になっています。
こちらは次に触れますね。
グレー水素、ブルー水素、グリーン水素
水素は、製造されるH2分子は同じですが原料や製造方法により分類されています。
引用元:KPMG
グリーン水素
グリーン水素とは風力や太陽光といった再生可能エネルギーを利用することで副産物としてのCO2を排出させることなく製造された水素です。
現在は非常に高価ですが、グリーン水素製造コストは2015年から2020年までに40%低下しています。
今後10年間で約70%のコスト削減になるとも予想があります。
すでにEUではグリーン水素を普及させる動きになっています。
再生可能エネルギー由来の水素がグリーン水素です。
ブルー水素
ブルー水素とは天然ガスや石炭等から水素を作りますが、二酸化炭素を大気排出する前に回収したものです。
回収方法はCCUS(Carbon Capture Used and Strage)と呼ばれるプロセスで行われます。
CCUSは日本では二酸化炭素回収・利用・貯留と呼ばれます。
CCUSと組み合わせた化石燃料由来の水素がブルー水素です。
グレー水素
化石燃料由来ですが、二酸化炭素を回収せずに大気排出して製造された水素をグレー水素と呼びます。
2020年時点では世界で製造されている水素の95%がグレー水素です。
グレー水素はCO2を製造時に排出するので気候変動が生じる原因となるため、ブルー水素やグリーン水素に移行していく方向性です。
ピンク水素、イエロー水素
原子力発電によって生産される水素をピンク水素もしくはイエロー水素と呼びます。
グリーン水素の今後の市場性
グリーン水素は長期的には大きく伸びていく予想がありますが、それは2030年代からです。
引用:KPMG
KPMGの予測によると2030年代からグリーン水素の活用が大きく伸びていくとされています。
グリーン水素のコスト
グリーン水素のコストは短期的にはまだ高く、他の水素を置き換えるのは難しいですが、長期的にはグリーン水素が主流となる可能性が高いです。
引用元:KPMG
設備投資は総支出額の1つの要素に過ぎませんが、燃料は、水電解によるグリーン水素の場合、その製造原価の内訳において最大の要素であることは間違いなく、製造原価の約45~75%を占めています。技術革新およびサプライチェーンの最適化により、全体的なCAPEXは引き下げられますが、燃料原価(OPEX)は低炭素電源の利用可能性の影響を受けるため、現在はグリーン水素の製造原価を引き下げる上で制約となっています。P2X(電力を他のエネルギー媒体に変換すること)ビジネスの便宜的かつ付属的な問題は、専用のグリーン電力と供給過剰のグリーン電力を、変動しやすい再生可能エネルギーの運用から切り離すことです。つまり、風力発電および太陽光発電への投資が劇的に増加し、水電解に十分な再生可能エネルギーが確保できれば、グリーン水素製造に関する低コスト電力の長期供給の可能性も高まります。
引用元:KPMG
まとめ
この記事では水素をエネルギーで使うこと、製造方法による水素のち外、グリーン水素の今後について解説しました。
- 水素をエネルギーで使うとは
- グレー水素、ブルー水素、グリーン水素
- グリーン水素の今後の市場性
持続可能な水素社会が徐々に実現されていきそうですね!