

先日、FacebookがAppleに対して新聞広告を出したというニュースがありました。
Facebook、「iOS 14のプライバシー変更から中小企業を守りたい」と新聞全面広告
これ実は大きい影響のあるニュースなので、解説していきます。
目次
本記事の内容
- Facebook対Appleについて
- ATT(App Tracking Transparency)
- ATTによるインターネットの未来
Facebook対Appleについて
下記のポイントで解説します。
- Facebookが問題視していること
- Appleの主張
- Facebookの主張
Facebookは新聞広告で、「We're standing up to Apple for small businesses everywhere」という広告を出しました。
I’m pretty certain #Facebook is fighting #Apple to retain access to personal data. #PID #privacy. #fullpagead #wsj pic.twitter.com/029WwaGSs0
— Dave Stangis (@DaveStangis) December 16, 2020
Facebookが問題視していること
Facebookが問題視しているのは、AppleがWWDC2020で紹介した新機能です。
Apple、6月に全く新しいオンラインでのWorldwide Developers Conference 2020 を開幕
AppleはWWDC2020で、iOS14の新しいプライバシーポリシーについて大きな変更を発表しました。
それはアプリがユーザーの広告IDを使ったり、追跡する場合は、そのユーザーの許可を取っておく必要があるというものです。(追跡とは他の会社が所有するユーザーデータをもとに、自社アプリでターゲット広告を見せることも含む。)
広告IDとは
広告IDとは、アプリの広告配信に用いられる、利用者を識別するIDです。
ユーザーがOKしない限り、Facebookの広告ネットワークでターゲッティングするのに利用者データを使えなくなります。
利用者が広告IDの提供を拒むことで、ターゲティング広告の精度が低下していくということです。

アプリは隠れてユーザーを把握することができなくなるので、利用者データを用いてビジネスをしているFacebookは問題視しています。
Appleの主張
アップルは、「利用者は自分のデータがいつアプリ等で収集されているかを知り、それを許可すべきがどうかの選択肢を持つべき」と主張しています。
またFacebookのターゲティング広告を否定するわけではなく、単にユーザーに選択肢を与えることを要求しているとしています。
Apple Responds to Facebook's Anti-Tracking Criticism, Says Users Deserve Control and Transparency

Facebookの主張
Facebookの全面広告での主張は、「利用者ターゲティングができなくなると、中小企業の売上は60%減少」するということです。
Facebookの利益ではなく、中小企業のためという主張ですね。
アプリやSNSは無料で使えて広告で儲けるというのが今までのビジネスモデルでした。
これが変わってしまうかもしれません。
中小企業が広告収益を取れないから、サブスクやアプリ購入になるのではないか、と主張しています。
するとアップルに手数料が入り込むわけですね。
Speaking Up for Small Businesses
ということで、ATTについて結局Appleが儲けたいからでしょ?とFacebookは主張しています。

ATT(App Tracking Transparency)
ATT(App Tracking Transparency)とそれが与える影響はこちらです。
- iOS14でのATT
- ターゲッティング広告への影響
- 広告からサブスクや有料化が進むかも
ATTとは
ATT(App Tracing Transparency)とはAppleの広告トラッキングの許諾をするシステムです。アプリ開発者はATTフレームワークを使って開発することが求められます。
iOS14でのATT
アップルはプライバシーを基本的人権と位置づけているので、iPhoneやiPadでの個人情報の収集に制限をかけ、利用者が選べるようにしようというスタンスです。
アプリはデータ収集許諾をしなければターゲティング広告の配信ができなくなります。
ただどうもこの文言を工夫して、ユーザーが自然とOKをおすような文面やUIはダメのようです。
ターゲティング広告への影響
ターゲティング広告のパフォーマンスが悪くなります。
今まではターゲティング広告は非常にコスパよくユーザーにカスタマイズした広告が出せたので、ネット広告は伸びてきました。
テレビでCMを出してもニーズがある人よりも興味ない人が見る割合が圧倒的に多かったのを、ネット広告によってピンポイントで広告を出せたのがネット広告成長の理由です。
Facebookはこれに乗っていた企業です。
ATTによってネット広告の良さが一気に失われる可能性があり、たしかにターゲティング広告をビジネスの中心としている中小企業には大きな影響があるかもしれません。
広告からサブスクや有料化が進むかも
ATTによって、無料だったサービスやアプリが有料化されていくことが進む可能性があります。
今までSNSは無料で使えました。
Twitter、Facebook、Instagram。
どれも無料で使えて、その代わり自分の情報にあった広告をもらうというサービスです。
SNS以外にも多くのアプリが無料で(広告は出るけれども)使えています。
ATTの変更は無料で使えていたSNSを変えるかもしれません。
広告で儲からなくなると、サブスクで課金するか買い切りみたいな形で有償化するしか儲け方がなくなります。この方向に進むかもですね。

ATTによるインターネットの未来
僕の予測は下記です。
- FacebookとGoogleは厳しい
- AppleとAmazonは問題が小さい
- 商品を持っている人が強い時代に
FacebookとGoogleは厳しい
GAFAの中で厳しいのは、Facebookとグーグルだと思います。
この2社は「広告」の会社です。FacebookはSNS、Googleは検索での広告やYoutubeでの広告がメインです。
両社ともにOculusやスマートフォンなどハードの進めていますが、基本的には広告の会社です。
ATTは広告に思いっきり影響を与えますので、このポリシーで大きな影響を受けるのはこの2社ですね。
AppleとAmazonは問題が小さい
逆にアップルとアマゾンは問題が大きくないと思います。
というのは商品を持っている会社だからですね。iPhoneとかAppストアとか、AWSとか。
自社の商品をサブスクても売り切りでもいいのですが、「売るもの」があるというのは強いです。
よってアップルとアマゾンに与える影響は小さく、だからこそアップルはATTを進めようとしているのですね。
商品を持っている人が強い時代に
GAFAでなく個人(あるいは他の企業)で考えても、商品がある人が強い時代になります。
この記事でも繰り返し伝えていますが、広告収入が減る可能性があるからですね。
例えば今Youtuberはほとんどが広告収入で潤っていますが、ATTによって広告で儲からない可能性があります。
そもそもSNS自体が無料じゃなくなてしまうかもしれません。
よく考えるとあれだけ発信できるプラットフォームが無料で使えるということ自体おかしいですよね。
そのため、個人でも商品をもったり具体的な商品がある企業が強くなるという時代になってくるでしょう。
まとめ
この記事では、最近話題となっているFacebookがAppleと揉めている件についてまとめてみました。
- Facebook対Appleについて
- ATT(App Tracking Transparency)
- ATTによるインターネットの未来
これから一層、自分の商品を持っている人が強くなる時代になりそうですね!